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飛行機が怖いなら知っておきたい数字、事故率0.00と車の違い

公開 読了 約12分
飛行機が怖いなら知っておきたい数字、事故率0.00と車の違い 図の中の文字: 日本の定期便は、死亡事故率0.00

飛行機に乗るのが怖いと感じる人は少なくない。だが日本の定期便の死亡事故発生率は100万便あたり0.00だ(内閣府 令和6年交通安全白書)。一方で令和7年の交通事故死者は2,547人にのぼる(警察庁)。飛行機は本当に危ないのか。国交省と警察庁の統計データから飛行機と自動車の安全性を数字で比べる。

飛行機の定期便は死亡事故率0.00で旅客の死亡事故は起きていない

内閣府の令和6年交通安全白書によると、定期便を運航する日本の航空会社の死亡事故発生率は100万飛行回数あたり0.00だ(内閣府 令和6年交通安全白書)。これは令和5年度の実績値だ。目標値も同じく0.00に設定されている。100万飛行回数あたりの率なので100万回飛んでも死亡事故が1件も起きていないということだ。日本の空では毎日何百もの定期便が飛んでいるがその中で旅客が亡くなる事故はゼロが続いている。

この0.00は偶然の数字ではない。日本の特定本邦航空運送事業者(客席数が100または最大離陸重量が5万キログラムを超える航空機を使う航空会社)の乗客が亡くなった事故は、昭和60年の日本航空123便の御巣鷹山墜落事故が最後だ(内閣府 令和6年交通安全白書)。それから約40年にわたって定期便の旅客の死亡事故は起きていない。

全損事故発生率も同じく0.00だ。機体が全損するような事故も起きていない。定期便に乗る限り、日本の航空会社の安全記録は数字のうえで最高水準にある。

飛行機が怖いと思ったら、まずこの0.00という数字を思い出してほしい。怖いという気持ちは自然だ。ただ実際のリスクは数字が示すとおりで、定期便で命を落とす確率は限りなくゼロに近い。

日本の航空事故は5年間で何件起きているか

死亡事故率は0.00だが航空事故そのものは毎年起きている。ただし死亡者数は少ない。令和元年から令和5年までの航空事故発生件数と死傷者数を見てみよう。

年 発生件数 死亡者数 負傷者数
令和元年 13 1 12
令和2年 13 2 16
令和3年 11 3 10
令和4年 21 9 14
令和5年 16 1 4

出典:内閣府「令和6年交通安全白書」(国土交通省資料による。各年12月末現在の値)

毎年11件から21件の航空事故が起きている。死亡者数は毎年1人から9人だ。令和4年は21件と多かったが、令和5年は16件に減り死亡者も1人だった。死亡者数は事故件数に比べて少ない。航空事故が起きても命に関わるケースは限られるということだ。事故の内容を種類別に見ることが大切になる。なおここでの死亡者数は事故から30日以内に亡くなった人の数で行方不明者も含まれる(内閣府 令和6年交通安全白書)。

ここで大切なのは、この数字には小型飛行機やヘリコプターの事故も含まれていることだ。飛行機が怖いという人が気にしているのは旅客機の事故だろう。旅客機にあたる大型飛行機だけの数字はこの先で見ていく。

飛行機の事故率はなぜ低いのか

航空業界には安全管理システム(SMS)という仕組みがある。ANAグループでは国際民間航空条約第19附属書に準拠するSMSを運用している(ANA「安全の取り組み」)。SMSは航空会社ごとに整備するもので、安全管理規程にその内容が定められている。

SMSは4つの柱で成り立つ。「安全の方針と目標」「安全リスクマネジメント」「安全状況のモニター・評価」「安全文化の醸成」だ(ANA「安全の取り組み」)。安全目標を立ててリスクを分析する。実績を測って組織の文化として根づかせる。1つの事故やトラブルから原因を突き止めて再発を防ぐ仕組みが何重にも組まれている。

ANAでは安全目標の達成度を安全指標(Safety Performance Indicator)で測定している(ANA「安全の取り組み」)。飛行データの解析プログラムや内部安全監査も実施しており、問題を早い段階で見つけて手を打つ体制がある。

国際的な監視体制も手厚い。IATA(国際航空運送協会)は1964年から毎年安全報告書を出している。最新版は第62版だ(IATA Safety Report)。対象は最大離陸重量5,700kg以上の商用航空機で、世界中の事故データを集めて分類・分析している。IATAでは事故分類タスクフォース(ACTF)が各事故を検証して原因を分類する。航空会社やメーカーやパイロット協会の専門家が参加しており第三者の目で事故を評価する体制がある(IATA Safety Report)。

事故が起きたときは調査報告書が公開される。原因と再発防止策がまとめられ、業界全体で共有される。IATAは「各事故から得られた知見が将来の事故を防ぐことにつながる」としている(IATA Safety Report)。飛行機の安全は1つ1つの事故から学んだ教訓を積み重ねて今の水準に達した。

ANAは「安全は経営の基盤であり社会への責務である」を安全理念として掲げている(ANA「安全の取り組み」)。航空会社が安全を経営の土台に置いていることが事故率の低さを支えている。

大型飛行機と小型飛行機で事故の数はどう違うか

航空事故の内訳を見ると、大型飛行機と小型飛行機で大きく差がある。大型飛行機とは最大離陸重量が5.7トンを超える飛行機のことだ(内閣府 令和6年交通安全白書)。旅客機として利用される飛行機の多くはこの大型飛行機にあたる。

令和元年から令和5年までの航空事故件数を大型飛行機と小型飛行機に分けて見てみよう。

年 大型飛行機 小型飛行機 計
令和元年 5 1 13
令和2年 4 1 13
令和3年 1 2 11
令和4年 8 4 21
令和5年 4 5 16

出典:内閣府「令和6年交通安全白書」(国土交通省資料による)。計にはヘリコプター・超軽量動力機・滑空機等を含む

令和3年の大型飛行機の事故はわずか1件だった。計が11件なので残りの10件はすべて小型飛行機やヘリコプター等の事故だ。令和4年は大型飛行機が8件と多い。ただし内閣府の白書によると大型飛行機の事故は「乱気流等気象に起因するものを中心に年数件程度にとどまり、小型飛行機等が事故の大半を占めている」(内閣府 令和6年交通安全白書)。

飛行機が怖いという人にとって大切な事実がここにある。旅客機として乗る大型飛行機の事故は毎年1件から8件にとどまる。しかもその多くは乱気流による揺れに起因するもので、機体が墜落する事故ではない。

事故率で比べると差はさらにはっきりする。定期便の事故発生率は100万飛行回数あたり3.08なのに対し定期便以外の航空運送事業者や航空機使用事業者は25.51だ(内閣府 令和6年交通安全白書)。個人が飛ばす航空機にいたっては92.73にのぼる。定期便は個人の航空機の約30分の1の事故率だ。この差は機体の整備体制と運航管理の仕組みが生んでいる。定期便には国の監視体制とSMSによる安全管理があるからだ。飛行機が怖いという人が実際に乗る旅客機は航空機の中でもっとも安全な部類に入る。

定期便の旅客が亡くなった事故は昭和60年以降起きていない

内閣府の交通安全白書には航空交通の安全指標が掲載されている。定期便を運航する航空会社に関する主要な安全指標を見てみよう。

指標 令和5年度実績 令和7年度目標
死亡事故発生率(100万飛行回数あたり) 0.00 0.00
全損事故発生率(100万飛行回数あたり) 0.00 0.00
事故発生率・定期便(100万飛行回数あたり) 3.08 0.86

出典:内閣府「令和6年交通安全白書」(国土交通省資料による)

死亡事故発生率と全損事故発生率はともに0.00だ。目標値もどちらも0.00に設定されている。つまり「1件も起こさない」ことが国の目標になっている。そしてその目標は令和5年度の時点で達成されている。

事故発生率(定期便に限る)は100万飛行回数あたり3.08で、目標値の0.86を上回っている。ただしこの3.08には死亡を伴わない軽微な事故も含まれる。乱気流で乗客が負傷したケースなどだ。死亡事故に限れば率は0.00のままで、旅客が命を落とす事故は昭和60年以降起きていない。

令和5年に航空運送事業者から報告された重大インシデントは6件だった(内閣府 令和6年交通安全白書)。重大インシデントとは事故には至らなかったが事故になるおそれがあった事態のことだ。事故の手前の段階で報告を義務付け、原因を調べて対策を打つ。この仕組みが事故率の低さを支えている。

管制に関連する重大インシデントも令和5年に1件報告された(内閣府 令和6年交通安全白書)。空港分野の航空事故発生率と重大インシデント発生率はどちらも0.00だった。飛行機本体だけでなく管制や空港を含めた航空の仕組み全体で安全が守られている。

自動車の交通事故死者と飛行機の事故率を並べるとどうなるか

飛行機の定期便の死亡事故率は0.00だ。では道路の交通事故はどうか。警察庁の統計によると、令和7年の交通事故死者は2,547人で前年より116人(4.4%)減った(警察庁「令和7年における交通事故の発生状況について」)。

交通事故死者数がどう変わってきたかを見てみよう。

年 交通事故死者数
平成27年 4,117人
平成30年 3,532人
令和元年 3,215人
令和2年 2,839人
令和5年 2,678人
令和7年 2,547人

出典:警察庁「令和7年における交通事故の発生状況について」

平成27年には4,117人が交通事故で亡くなっていた。それが令和元年には3,215人、令和7年には2,547人まで減った。ただし減り方は鈍くなっている。令和5年は2,678人、令和6年は2,663人で前年とほぼ変わっていない。毎年2,000人を超える死者が出ている状況は続いている。道路の交通事故はゼロにはなっていない。飛行機の定期便の死亡事故率0.00との差が際立つ。

重傷者数は27,563人で前年より278人(1.0%)増えた(警察庁)。死者は減っているが重傷者は増えている。

65歳以上の死者は1,423人で全体の55.9%を占める(警察庁)。高齢者の割合がとても高い。

携帯電話を使いながらの運転も深刻だ。携帯電話等を使用しているときの死亡事故率は使っていないときの約3.4倍にのぼる(警察庁)。

状態別に見ると歩行中の死者が前年より75人(7.8%)減り減少幅がいちばん大きかった(警察庁)。ただし歩行者の死亡事故では被害者の約6割に違反があった。信号無視や横断歩道以外の場所を渡るケースだ。車を運転する側では75歳以上の高齢運転者による死亡事故が前年比で減ったものの全死亡事故に占める割合は増加傾向にある(警察庁)。飲酒運転による死亡・重傷事故は近年横ばいで推移しており根絶には至っていない(警察庁)。

国の第11次交通安全基本計画(令和3年~令和7年)は交通事故死者数を2,000人以下、重傷者数を22,000人以下にする目標を掲げている(警察庁)。令和7年の死者2,547人と重傷者27,563人はどちらも目標を超えたまま計画の最終年を迎えた。死者数は平成27年の4,117人から10年で大きく減ったが2,000人の壁はまだ遠い。道路交通の安全は進んでいるが飛行機の定期便のように死亡事故ゼロにはなっていない。

飛行機の定期便と自動車の事故率の違い。飛行機と車どっちが危ない。飛行機の定期便。死亡事故率0.00。旅客の死亡事故なし。事故の大半は小型機。自動車。年間死者2,547人。重傷者27,563人。ながらスマホは3.4倍。飛行機の神様が作ったイラスト図解(人物の悩み+◎△の2枚カード)

交通事故では毎年2,000人以上が亡くなっている。一方で飛行機の定期便は約40年にわたって旅客の死亡事故が起きていない。飛行機が怖いと思ったら、この差を数字で確かめてみてほしい。車に乗るほうが数字のうえではリスクが高い。

飛行機の揺れが怖いときはどうすればよいか

飛行機が怖い理由として多いのが揺れだ。乱気流で機体が上下に揺れると落ちるのではないかと不安になる。だが揺れと墜落はまったく別の話だ。

大型飛行機の航空事故は「乱気流等気象に起因するものを中心に年数件程度にとどま」る(内閣府 令和6年交通安全白書)。乱気流による事故の中身は乗客や乗務員の負傷が大半で、機体が壊れて墜落するわけではない。揺れで不快な思いをすることはあっても、それで飛行機が落ちることはまずない。予想できない乱気流に遭って突然揺れることもあるが死亡事故率は0.00のままだ。大型飛行機は揺れに耐えられる構造になっている。

揺れによる負傷を防ぐにはシートベルトを締めることが基本だ。ANAも飛行中の揺れによる負傷防止のために注意喚起動画を機内で流している(ANA「安全の取り組み」)。シートベルトサインが消えた後もベルトは締めたままにしておくと安心だ。急な揺れでも体が飛ばされずに済む。

席によっても揺れの感じ方は変わる。主翼の付近は機体の重心に近いため揺れが小さくなる。飛行機の揺れが怖い人は翼の付近の席を指定するのがよい。窓から翼が見える位置が目安だ。

飛行機が怖い人は搭乗前に何ができるか

飛行機が怖い気持ちは搭乗前の準備で和らげられる。ここでは4つの方法を紹介する。

飛行機が怖いときの搭乗前にできること。事故率を確認する。定期便の死亡事故率は0.00。数字を知ると冷静になれる。翼の付近の席を取る。揺れがいちばん小さいのは主翼の上あたり。朝の便にする。朝は空気が安定していて乱気流が少ない。深呼吸する。離陸前にゆっくり息を吐くと心拍が落ち着く。飛行機の神様が作ったイラスト図解(横並びの手順コマ)

まず死亡事故率0.00という数字を確認しておこう。定期便の旅客が亡くなった事故は昭和60年以降起きていない。この事実を知っているだけでも不安は小さくなる。

次に翼の付近の席を取る。前述のとおり主翼の上あたりは揺れがいちばん小さい。座席指定ができる航空会社なら予約のときに選んでおこう。

朝の便を選ぶのも有効だ。朝は地表が温まる前なので空気が安定している。午後より乱気流が起きにくい時間帯だ。

離陸前にゆっくり深呼吸するのも効果がある。鼻から4秒吸って口から8秒で吐く。呼吸を意識するだけで心拍が落ち着いて緊張がほぐれる。

初めて飛行機に乗る人は初めての飛行機ガイドも読んでみてほしい。遅延や欠航が不安な場合は遅延と欠航のデータで実際の数字を確認しておくと安心だ。揺れの少ない席について詳しくは翼の上の席を参考にしてほしい。

飛行機の安全性についてよくある質問

Q. 飛行機が墜落する確率はどれくらいですか
A. 日本の定期便の死亡事故発生率は100万飛行回数あたり0.00です(内閣府 令和6年交通安全白書)。定期便の旅客が亡くなった事故は昭和60年以降起きていません。

Q. 飛行機と車ではどちらが危ないですか
A. 令和7年の交通事故死者は2,547人です(警察庁)。同じ時期に日本の定期便で旅客が亡くなった事故はありません。数字だけで見ると車を含む道路交通のほうがリスクは高いです。

Q. 飛行機が怖いのを克服する方法はありますか
A. まず死亡事故率0.00の数字を確認してください。そのうえで翼の付近の席を選び朝の便を使うと不安を減らせます。

Q. 飛行機の乱気流は怖くないですか
A. 乱気流で揺れることはありますが墜落にはつながりません。大型飛行機の事故は乱気流等が中心で年数件程度です(内閣府)。シートベルトを締めていれば負傷リスクは大きく下がります。

Q. 日本の航空会社で最後に旅客が亡くなった事故はいつですか
A. 昭和60年(1985年)の日本航空123便の御巣鷹山墜落事故が最後です(内閣府 令和6年交通安全白書)。それ以降40年近く定期便の旅客の死亡事故は起きていません。

Q. 飛行機に初めて乗るのが怖いですが大丈夫ですか
A. 初めてなら不安を感じるのは自然です。定期便の死亡事故率は0.00なので数字のうえでは安全です。翼の付近の席を指定して朝の便を選ぶと揺れが少なく落ち着きやすくなります。

飛行機が怖いと思ったら事故率の数字を見てみよう

飛行機の定期便の死亡事故率は100万飛行回数あたり0.00だ。全損事故発生率も0.00で、定期便の旅客が亡くなった事故は昭和60年以降起きていない。

一方で道路の交通事故では令和7年に2,547人が亡くなった。重傷者は27,563人だ。平成27年の4,117人から着実に減っているが今でも毎年2,000人を超える命が失われている。国の目標である2,000人以下にはまだ届いていない。

航空事故は毎年起きているが、そのほとんどは小型飛行機やヘリコプターの事故だ。大型飛行機の事故は乱気流等が中心で年に数件程度にとどまる。航空業界はSMSやIATAの安全報告書を通じて事故の教訓を積み重ねている。

飛行機が怖いと思ったら、まず数字を見てみよう。事故率0.00という事実は恐怖を和らげる材料になる。怖いという気持ちを否定する必要はない。ただ数字を知ったうえで判断すれば不安は小さくなるはずだ。

飛行機に乗る前に不安になるのは自然なことだ。だがその不安と実際のリスクは一致していないことが多い。事故率0.00を頭に入れて翼の付近の席を取り朝の便を選ぶ。それだけで飛行機の旅はずっと楽になる。

この記事が見た公式ページ

全日本空輸と国際航空運送協会など2本の公式ページを実際に開いて書いています。数字と規定はここから取りました。

  1. 1全日本空輸ANA「安全の取り組み」
  2. 2国際航空運送協会IATA Safety Report

最終確認 2026年9月24日

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