「座席を指定したのに違う席になっている」
「もっといいいい席に変更してほしい」
あいにく最近はコロナウイルスの影響で、旅行のムードはおろか上空に飛行機を見ることも少なくなりましたね。
自宅待機の時間を使って今は、事態が収まったらどこに行こう?などわくわくした計画を立てましょう。
そしてその中で出てくる、飛行機についての素朴な疑問にお答えしたいと思います。
使用する飛行機の変更や、そのほかやむを得ない理由により、予告なしに座席番号が変更・取消となる場合があります。座席振り替えの際は、事前に指定された座席の条件を考慮していますが、システムによる自動振替処理の都合上、希望に沿えない場合もあります。
引用:JAL公式サイト
基本的には自分で決めた席は希望通りで変わることはありません。しかし航空会社側の事情やその日のお客様の状況により、多少の移動がある場合があります。
では、一体どのような事情なのか?場面別に教えちゃいます!
なぜ勝手に座席が変更されるのか?
座席が変わってしまう場面と理由をそれぞれ教えしていきたいと思います。
【ケース1】決めていた席がカウンターで変更された
まずはチェックイン。オンラインで事前に座席指定もしたし、何も心配ない!
でもいざカウンターに来てみると、思い通りに行かない…なんてことも。
- 満席
- 機材変更
- 座席不適合
- 飛行機のバランス
満席のため座席調整が必要だから
春休みやゴールデンウィーク、盆に正月…高速道路や新幹線と同じで空の便にも繁忙期があります。満席の場合は個人客、家族連れや親子、団体ツアー客に合わせて、機内の座席配置が難しいです。
もちろんこれはチェックインを担当するグランドスタッフ目線ですが、
「3人掛けシートの真ん中が空いている」
「別々の予約を持つ家族がバラバラになってしまう」
といった際に、カウンターでこちらからお客様に多少の移動のお願いをすることがあります。
機材が変更されたから
これはよくあるケースですね。1つの航空会社でも保有している機材には種類があり、大きさも異なります。
「この日は混雑が予想されていたが予約が少ない」
このような場合は、機材が小さいものに変更されます。最近はコロナウイルスの影響でこの状況に陥る会社が増えています。
座席番号“ABC DEF HJK”の配列が“AB DFG JK”になるなど、実は位置的には大差がなくても「あれ?ずれてる?」といった印象があるかもしれません。
その席に適合していないから
皆さんの中には飛行機の常連で、気に入った席がある方もいらっしゃるでしょう。
特に人気な場所が非常口座席。エアライン関係者の間では”バルクシート”と呼ばれる席です。
ここは扉のそばの席で、機内全体の区切りとなるので前に空間があり足が伸ばせます。背の高い方や、仕事で疲れて快適に休みたい、通路に出る際の気遣いが面倒、といった理由で希望されます。
しかしこちら、誰でも座っていいわけではなく、条件があるんです。
- 年齢が15歳以上であること
- キャビンクルーによる非常口座席の説明を理解できたことを示し、その指示を実行すること、予期せぬ緊急事態の発生時に進んでお手伝いいただけること(ジェットスター・ジャパン運航便以外においては英語)
- 非常時に介助が必要な同伴者がいないこと
- 幼児の同伴がないこと
- 地上走行中、離着陸時に眼鏡やコンタクトレンズを使用しても矯正されない程度の視覚障がいがないこと
- 非常時に重さ15kgの非常口ドアに手が届き、ドアを持ち上げて取り外すことができること
- ジェットスター・アジア航空(3K)およびジェットスター・パシフィック航空(BL)にご搭乗のお客様の場合は、妊娠していないこと(一部抜粋)
引用:ジェットスター公式サイト
パッと見ると条件が多くて厳しそうですが、大概の方は適合していると言えます。また国際線では言語面を重視します。イタリア線ならイタリア語もしくは英語。ベトナム線ならベトナム語もしくは英語。基本的に英語の日常会話レベルで大丈夫です。
魅力的な非常口座席…ここで見落としがちなのが、非常口の近くだと、
リクライニングが使えない
手荷物をすべて上部の棚に入れる必要がある
という点。このことを覚えておきましょう。
バランスの関係
飛行機には安定して目的地まで飛行するために重要なバランスを保たなければいけません。
実際にグランドスタッフが体験した例をご紹介します。
通常だとそのようなことは滅多にないのですが、その日はたまたまお客様の事前予約の席の配置などが偏り、バランスが崩れてきたのです。航空会社では平均的に、大人は75㎏として計算をするところが多いです。もちろん女性だともっと軽いのですが、計算上は75㎏が足されていきます。
そんな時、出された策は、「お客様の体重を聞く」でした。普通なら初対面の人に「あなた何キロなんですか」なんてとんでもなく失礼です。しかし「飛行機のバランス上の関係で…」とクッションを置いて、全員に紙に体重を書いてもらいました。結果、その便は乗客も荷物も全て載せることができました。
相撲の力士が20人ほど乗った時も配置に工夫したのだとか…
【ケース2】決めていた席が搭乗口で席が変更された
セキュリティーや出国検査が終わり、いざゲートへ!
もうここまで来れば安心…そんな時に自分の名前がアナウンスで呼ばれたり、搭乗ゲートでブザーが鳴るとドキッとしますよね。いろんな理由がありますが、座席変更が搭乗口で行われることもしばしばあります。
では、搭乗ゲートで座席が変えられる理由とは?
- 座席の故障・汚れ
- 希望の席が取れた
- クルーの要望
どのような事情があるのか見ていきましょう。
座席に故障・汚れが見つかったから
便によっては、目的地からこちらに往路として到着し、復路としてまた出発する場合もあります。つまり出発地であるこちらの空港にずっと駐機しておらず、現地から飛んできてすぐに折り返すパターンです。
この際、たった今乗ってきたお客様がシートに何かをこぼしたり、故障が見つかることがあるんです。もちろん搭乗時間までに清掃担当のスタッフが直そうとするのですが、無理な場合も。
そんな時は、その席番号を持っているお客様には、移動のお願いをします。もし同行者がいる場合は一緒に移動できるかも考えます。
チェックイン時は取れなかった席が取れたから
「チェックインカウンターでは、前方の席を希望したけど空いてなかったから後方になった…」
しかしチェックインが進んでいく中で状況が変わり、搭乗締め切り後に、席が空くことも!
スタッフによっては、そのお客様を覚えていて搭乗の前に「ご希望だった前方の席が空きました」と言って変更してくれることもあります。ただし忙しいときや満席のときは声をかけてくれないかも。
クルーからの要望があったため
カウンターで非常口の条件についてお話ししましたね。中には、チェックインカウンターではグランドスタッフが見抜けずに、機内に入ってから、CAに指摘されることもあるんです。
「カウンターでは胸から上しか見えなかったけど、実はお腹が膨らんでいて妊婦だった」
「さっきは英語が話せると言っていたのにCAの言葉が理解できなかった」
これはグランドスタッフのミスですが、緊急の際には重要な役割なので、CAの目は厳しいです。
機内での移動は可能
搭乗ゲートを抜けてやっと座席へ。
でも席についてみたら隣の人が大柄で窮屈…。寝たいのに近くの子供が騒がしい…。
カウンターでは近くにどんな人が座るかは分からず、言い出しにくい方が多いと思います。
でも大丈夫。飛行機が飛んだ後なら空いた席に移動してもいいんです!
動いてもいいタイミングとルールを見ていきましょう。
- 離陸した後
- 移動できない場合
離陸した後は自由
扉が閉まって、機体が動き、離陸。そしてシートベルト着用サインが消えれば移動は自由です。
でも、搭乗してCAが扉を閉めるまでは動かないでください!これは、搭乗締め切り時間が迫っているのにまだゲートに来ていないお客様を、グランドスタッフが機内にてすでに乗っているのかを確認するためです。
もし”33C”の座席番号の方が最後のお客様でまだ乗っていないと思い、機内で33Cを見に行く…。
見ると空席。するとグランドスタッフはターミナル内にいると思い、捜索を続けます。
しかし実際は33Cのお客様はもっと後ろが良かったために”54F”に動いていた…。
機内で声掛けもするのですが、見つからない場合は、”最後のお客様”を探し続けなければいけないことになります。
ご移動は離陸後にお願いします!
移動できないケース
機内での移動、座席変更ができないこともあります。
特別食を頼んでいる
機内食には、事前予約で数十種類のメニューが選べることはご存知でしょうか?ベジタリアンやハラール、お子様メニューに塩分控えめなど、”特別食”を予約されるお客様がいます。
しかしこれらの方への食事の提供をするCAは座席番号で管理・把握しているため、移動されてしまうと間違ってほかの方に渡ってしまったり、提供に時間がかかったりします。
食事の時間以外に移動をするなど、注意が必要です。
ビジネスクラス
エコノミークラスではなく、ビジネスクラスやファーストクラスの場合。ここでもCAは名前の書かれた座席表を持っているため、移動は控えましょう。
ビジネスクラスなどでは豊富な食事のオプションや提供の希望時間帯など、一人ひとりに合ったサービスをより求められます。そのため違うお客様にご迷惑をかけてしまうなどの事態に繋がります。
座席の移動の要望はカウンターか搭乗口で言いましょう。
- 赤ちゃん連れの方が座れない席(酸素マスクの関係で
- 乗り継ぎがある方は前方
- 子供の一人旅の場合は隣は必ず女性
- 機内にCAが休憩するための専用シートがある(LCCなど)
まとめ
- 満席のため座席調整が必要だから
- 機材が変更されたから
- その席に適合していないから
- バランスの関係のため
- 座席に故障・汚れが見つかったから
- チェックイン時は取れなかった席が取れたから
- クルーからの要望があったため
- 離陸した後は自由
- 移動できないケースもある