2019年11月末に中国の武漢市で新型コロナウイルスが発生しました。
その後全世界に広まり日本でも猛威を振るっています。
外出自粛を余儀なくされましたが、仕事や止むを得ない用事で飛行機を使わないといけないといった方もいるのではないでしょうか?
「飛行機ってずっと閉鎖された空間だけど、感染しないのかな?」
「飛行機での感染対策はどうなっているのかな?」
と疑問や不安があると思います。
そこで今回は飛行機の感染対策について詳しく説明していきます。
飛行機での感染対策
飛行機内では一旦ドアが閉まると外とは隔離された空間になるのでもしコロナウイルスを保菌している方と一緒になったらと思うと不安ですよね。
どのような対策が取られているのか詳しく紹介していきます。
機内の空気循環
飛行機は密閉空間だから感染しやすいのではと思ってしまいますが、実は高機能の空調システムにより約3分で全空気が入れ替わるようになっています。
ANAは全機種の空調システムに最新のフィルター*を装着しています。
同フィルターで浄化した空気と機外から取り入れた空気を客室内に供給し、その後機外へ排出することにより約3分で機内の全空気が入れ替わるよう設計されております。
- High-Efficiency Particulate Air (HEPA) Filter :0.3ミクロンの粒子を99.97%以上捕集できる高性能フィルター
引用:ANA公式ホームページ
引用:JAL公式ホームページ
どの航空会社の飛行機もこのシステムを採用しています。
感染病棟でも使用されている高性能なフィルターを通しているので、IATA(国際航空運送協会)は「機内での感染リスクは低い」と発表しています。
飛行機の換気システムについて詳しく知りたい方はこちらの記事も見てみて下さい↓↓
機内の客室消毒
夜間整備のおいて、テーブル、肘掛け、トイレのドアノブや蛇口ハンドルなど乗客の手が触れる部分をアルコール消毒しています。
客室乗務員による機内アナウンスの実施
搭乗時はマスクを着用すること、咳や熱がある場合は搭乗しないこと、そのような症状がある場合は到着後検疫官に申し出ることなどといった内容を機内アナウンスしています。
客室乗務員のマスク、手袋着用
乗客の方に安心してサービスを受けてもらうために客室乗務員はマスクを着用しています。
また、食事・飲み物のサービス時には手袋を着用しています。
機内販売の一時休止または変更
機内サービスについても感染拡大を防ぐため当面の間休止または変更になっています。
- 機内販売の一時休止
- 個包装のおしぼりや食事の提供に切り替え(一部航空会社)
- ブランケット、ヘッドホンなどの貸し出しサービスの休止
- 機内誌の座席ポケットの搭載中止
- 飲み物は紙パックのお茶お子様は紙パックのリンゴジュースに切り替え(一部航空会社)
各航空会社で多少の違いはあるもののこのような内容で実施されています。
飲み物の提供も中止している航空会社もあるので、自分で用意することを忘れないようにして下さい。
もし何か不明な点がありましたら、私たちに相談して下さいね。
厚生労働省・検疫所作成の健康カードおよび各国の要請による検疫関係書類の配布
一部の中国本土ならびに香港発便の機内において、厚生労働省・検疫所作成の健康カード「中国(武漢市)で新型コロナウイルス感染症が発生しています」を配布しています。
除菌剤の機内持ち込みについて
危険物に当たるため以下の製品は持ち込み、お預け共に不可となっています。
【対象商品】
太幸薬品(株)クレベリン(置き型タイプ、ペン型タイプ、フックタイプ)
ジェルタイプの除菌剤などの直接肌につけるものに関しては持ち込み、お預けともに可能です。
引用:太幸薬品公式ホームページ
JALの機内におけるソーシャルディスタンシング対応
JALなどの一部航空会社では乗客の感染防止のため一部の座席を指定不可にしています。
座席の間隔を開けることでソーシャルディスタンスを保つように対策しています。
引用:JAL公式ホームページ
空港での感染対策
機内の他にも空港内でも感染防止対策が取られています。
そのような対策が取られているのか詳しく説明していきますね。
地上係員のフェイスシールド、マスク着用
安全地上係員はマスクを着用しています。
また、一部の空港ではフェイスシールドを着用しています。
一部カウンターではビニールシートを設置し感染拡大防止をはかっています。
引用:毎日新聞ホームページ
空港内でのポスター掲示、アナウンス
空港カウンターにて体調の悪い方は申し出てもらうようポスターを掲示し、アナウンスを実施しています。
また、空港カウンター、搭乗ゲートにおいて搭乗時にマスクを着用してもらうようにアナウンスを実施しています。
空港カウンターの営業時間変更
感染拡大防止の観点からカウンターの営業時間を短縮しています。
また、電話やメールなどのお問い合わせ窓口も営業時間を変更または休業しています。
混雑が予想され繋がりにくい状態ですので、ホームページなどでの確認をおすすめします。
空港での検温
羽田、伊丹など一部空港では感染拡大を防ぐため一部空港で搭乗前に乗客の体温確認を実施しています。
保安検査場入り口にサーモグラフィーを設置し、37.5度以上だった場合はチラシで搭乗の取りやめと保健所への相談を促しています。
ラウンジサービスについて
ラウンジ内のサービスでは個食、個包装によるサービスまたは係員によるサービスに順次変更しています。
ラウンジは閉鎖もしくは営業時間の変更をしている場合もあります。
また、密室空間になり得るラウンジ内の喫煙所は当面の間閉鎖しています。
清掃強化
ターミナル館内のドアノブ・手すり(歩く歩道、エスカレーター含む)や手荷物カートのハンドルの消毒など清掃を強化しています。
また、ターミナル各所に消毒液を設置してあります。
入国制限、検疫体制の強化
法務省が上陸拒否の対象としている国からの入国制限を実施しています。
詳しくは法務省ホームページをご覧ください。
また、入国の際には14日間待機する滞在先と、空港から移動する手段について検疫所に登録をします。
入国した日の過去14日以内に「入管法に基づく入国制限対象地域」に滞在歴のある方は全員にCPR検査と保健所等による定期的な健康確認をしています。
詳しくは厚生労働省のホームページをご覧ください。
自分でできる感染対策
飛行機や空港で入念な感染対策が行われているのは紹介しましたが、自分でも必ず感染対策をするようにしましょう。
自分や他の人への感染を防ぐことにつながります。
基本的な感染対策
まずは基本的なコロナウイルスの感染対策を紹介します。
- 正しい手洗い
- 正しいうがい
- 咳エチケットを守る
- マスクの着用
- 換気をする
- 手指の消毒
- 共用部分の消毒
- 3密を避ける
引用:内閣官邸公式ホームページ
報道などでご存知の通り基本の感染予防を徹底することによってウイルスを防ぐことはできます。
移らないことはもちろんですが、コロナウイルスは保菌していても症状がないこともあります。
人に移さないためにも予防をしっかりと行っていきましょう。
飛行機に乗るときに心がける感染対策
飛行機に乗るときに注意しておかなければいけない感染対策を紹介していきます。
- 空港までの行き帰りはできる限り公共交通機関は使用しない
- 体調に少しでも不安があるときは絶対に飛行機に乗らない
- モバイルアプリでオンラインチェックインをする
- 複数人で手荷物がある場合は代表者1名で行う
- 搭乗、降機、手荷物検査などの際は間隔を開ける
- 搭乗、降機の際は周りを見て密集しないよにする
- 自分が触れたものや触れるところは除菌する
- 窓側の席に座る
自分でできる感染対策もしっかりと行っていきましょう。
感染症やインフルエンザの疑いがある乗客の対応
他の乗客に伝染する恐れがある、重大な感染症の方または感染症の疑いがある方は原則として搭乗できないルールです。
ですがもしも乗客に感染の可能性がある方がいたらどのような対応をするのでしょうか?
IATA(国際航空運送協会)が策定した感染症疑い乗客への対応ガイドラインがありますので紹介していきます。
1.出来るだけほかの乗客から離す。
2.対応する乗務員は一人とする。患者に接する場合は、手袋などを着用。
3.できれば、トイレの限定 。
4.咳をしている方には、外科マスクの着用を頼む
5.同行者に症状を確認。
6.機長に状況を報告し、機長より管制官に連絡。
過去の感染症の事例
しっかり対策が取られているように感じますが、実際感染症が蔓延する可能性は少ないのでしょうか?
SARSや麻疹の例などを紹介していきます。
SARS
SARSとは重症急性呼吸器症候群で主に飛沫感染し、咳や高熱、息切れなどの呼吸器症状が出ます。
潜伏期間は2〜7日で2002年11月に中国で発生した例が最初とされています。
【SARSの事例】
2002年から2003年のSARS流行期間中に、世界中で40のフライトにSARSに感染した患者さんが搭乗しました。その後の調査で、他の乗客に感染をさせたのはわずかに5つのフライトだけで、機内で感染した方の数は37人であることが判明しました。感染させた患者さんは、いずれも咳などの症状がある方ばかりで、感染した乗客の方は、その殆どが患者さんの前後に着席していました。また、空港での体温チェックなどによる検疫強化後は、機内で感染した方は発生していません。
麻疹
麻疹は小児に多い発疹性の急性感染症です。
病原体は麻疹ウイルスで飛沫感染し、約10日の潜伏期間を経て発熱・咳・目の充血など風邪のような症状で始まります。
口の中に白斑が現れて、特有の赤い発疹が出て全身に広がります。
【麻疹の事例】
感染力が最も強い感染症といえば、麻疹で、その感染経路は空気感染(飛沫核感染)、飛沫感染や接触感染です。麻疹の感染力の強さを簡単に説明しますと、麻疹の免疫がない人たちの中に1人の患者さんがいたとすると、12~14人の人があっという間に感染するほどです (インフルエンザの場合は1~2人)。航空機内に麻疹の患者さんが搭乗されることがありますが、ほかの人に感染させるケースは極めて少ないようです。例えば、2004年に日本からハワイの7時間のフライト(307名搭乗)で麻疹患者が搭乗しました。しかし、機内感染は1例も起こりませんでした。
1997年から2004年の間に,感染性を有した117名の麻疹患者が機内に搭乗し,同乗した10,000人のうち,4人が機内感染を起こした
引用:宇宙航空環境医学 Vol. 45, No. 4, 2008
感染力が強いと聞くと同じ飛行機に乗ってしまうとかなりの確率で感染してしまいそうですよね。
飛行機の換気システムがあれば長時間のフライトでも1人も感染者を出さなかったという事例があります。
100%大丈夫ということはありませんが飛行機の換気システムがかなり高性能ということがわかります。
もし換気システムが作動してなかったら
インフルエンザでは次のような事例が起こりました。
出発の遅れのため,換気システムが停止した機内に数時間いた乗客の72% が1人の患者からインフルエンザが感染した
引用:宇宙航空環境医学 Vol. 45, No. 4, 2008
もし、換気システムが作動していなかったら高確率で感染してしまいます。
飛行機での感染が少ないと言われる理由
では、実際コロナウイルスに飛行機内で感染している事例はあるのでしょうか?
いくつか事例がありますので紹介します。
- コロナの症状のある乗客が中国からカナダへのフライトの接触者追跡で機内感染なし
- コロナの症状のある乗客が12人いる中国とアメリカ間のフライトの接触者追跡で、機内感染なし
- 機内感染と違われる3例は全て乗客から乗務員への感染で乗客から乗客への感染が疑われる事例なし
- 降機後にコロナが確認された1100人の乗客の接触追跡の詳細な分析で同じ飛行機に搭乗した10万人を超える乗客の間での二次感染は見られなかった。
- 乗務員間感染と思われるものは2例のみ
このように乗客から乗務員、乗務員間感染は数例ありますが、乗客から乗客への感染はこの時点ではまだありません。
コロナウイルスの感染力は高いですが、飛行機の搭乗でクラスターが発生したという事例はまだ発表されていません。
また、飛行機での感染例が少ないと言われる理由にはこのような理由があります。
- 乗客が前を向いて座るため顔を突き合わせることが少ない
- 背もたれが後方から前方への伝染を防ぐ防護壁になっている
- 天井から床への空気が流れており、その流れは早く他の屋内と同じように液滴の広がりにつながらない
- 高品質のフィルターにより、高レベルの外気循環を利用している
座席配置、換気機能により他の交通機関より感染が低いと言われています。
まとめ
- 飛行機には高機能の空調システムがついており約3分で全空気が入れ替わるようにできている。
- 航空機内でも機内サービスの中止、マスク着用、機内消毒など様々な対策が取られている。
- 空港でも検温や水際対策など様々な対応が取られている。
- 自分でもできる対策をしっかりする。
- 航空機での感染症の報告は少ない
このように空港や機内では様々な感染対策が行われています。
やむを得ない理由で飛行機に乗ることはあるかもしれませんが、不安材料が少しでも取り除けたら幸いです。
しかし、100%大丈夫という保証はありませんし、航空会社も空港関係者も大変な中リスクを抱えて営業しています。
移らないことはもちろんですが、自分が移さないように最大限の対策をして出かけるようにしてください。
1日でも早く通常の生活が戻ることを願っています。
なお、この情報は2020年5月のものです。
変更になっている場合があるので詳しくは航空会社のホームページをご覧ください。
他にも飛行機の情報について知りたい方はこちらの記事も参考にしてみてください↓↓
飛行機には周りにどんな人が乗るか分からないから不安ですよね。
皆様ができるだけ不安なく飛行機に乗れるようにできる限りの対策をしてます。