ずっと楽しみにしていた旅行。
なのに、直前になって体調を崩してしまうこと、ありますよね。
特に、お子さまのいるご家庭では、子供が急に熱を出してしまった!なんてこと、一度は経験があると思います。
「ずっと前から予約していたし、熱があってもどうしても行きたい!」
「熱があったら飛行機に乗れないかな。」
ほかにも、検疫のことや、旅行を断念した場合のキャンセル料のことなど、体調不良に関する飛行機の不安はたくさんあると思います。
今回は、そんな疑問や不安を解消し、熱が出てしまっても少しでも安心して飛行機を利用できる方法をお伝えしたいと思います。
旅行直前に熱が出たら
まず、解説を始める前に、旅行直前に熱が出てしまったらなるべく無理をせず日程を延期することをおすすめします。
なぜなら飛行機内の環境は、体質や体調によっては、身体に悪影響を及ぼす可能性があるからです。
- 気圧:約0.8気圧(富士山の5合目くらい)
- 酸素分圧:約80%
- 湿度:約10〜20%
ただでさえ体調が悪いのに、富士山の5合目や砂漠に行くようなものです。とても過酷ですよね。さらに飛行機は、大きく揺れたり、いつでも化粧室に行ける環境ではないので、余計に気分が悪くなりやすいです。
搭乗前は元気だったのに、いざ飛行機に乗ったら一気に体調が悪化してしまった!なんてこともよくあります。
なにより、体調が万全でないとせっかくの旅行も楽しめませんよね。なので、なるべく無理はせず、可能であれば旅行を延期したり、飛行機などの長距離の移動を伴わないプチ旅行に変更したりするのもいかがでしょうか?
以上のことをふまえた上で、それでも飛行機を利用せざるを得ない場合の対処法を、これから解説していきます。
まずは病院に
熱が出たら、まずはかかりつけの病院にいきましょう。
インフルエンザやおたふく風邪など人に感染する病気なのかどうか、また長いフライトを乗り越えられる体調であるか、診断してもらいましょう。
感染症と診断されたら
感染症と診断された場合は、「学校保健安全法」を参考にしてください。この「学校保健安全法」の出席停止期間にあてはまる場合は、基本的に飛行機に乗ることができません。
インフルエンザのように、熱は下がってもウイルスの潜伏期間であり、ほかの人に移してしまう可能性がある時は、飛行機に乗ることも控えないといけないということです。
しかし、出席停止期間にあてはまる場合でも、医師が感染の恐れがないと判断した場合には、特別に搭乗が認められることがあります。
その際、航空会社によっては指定の診断書の提出が求められる場合がありますので、利用する航空会社に問い合わせてみましょう。
引用:ANA公式サイト
診断書の提出方法
公式HPを参考に、必要な設問を埋める。
診断書には、必ず医師が記入する部分があるので、なるべく余裕を持って病院にいくことが望ましい。
感染症ではなかった場合
感染症ではない風邪や胃腸炎の場合でも、熱が出ていたら空港で止められることがあるかもしれません。その際に、感染症でないことを証明するのに医師の診断書があるとよいでしょう。
先ほどの航空会社が指定する診断書とは別のものです。病院にかかった時に、医師にお願いして発行してもらいましょう。
海外に出発する場合は、念のため英文のものも用意すると安心です。
【国際線】検疫は通れる?
一番の心配は検疫ですよね。
どの国でも、入国する時は必ず検疫を通らなければなりません。その際、サーモグラフィーなどで皮膚の温度を測るので、もし熱があったら一発でわかってしまいます。
熱があった場合、検疫官に呼び止められ、身体の状態について問われます。発熱に加えて下痢や嘔吐などの症状がある場合は、別室に連れて行かれます。
感染症の疑いがあるため、医師の資格を持った検疫官による診察を受けないといけないんです。このシチュエーションを考えただけでなんだかゾッとしますよね。
どの国も、海外から国内に感染症が持ち込まれることを防ぐために検疫所を設けているので、この流れは共通しています。
海外着の場合
日本を出発して、無事目的地に到着しても、入国できなかったら大変です。
しかし、日本を出国する時点で医師の診断を受け、感染症ではないことが認められていれば、余程のことがない限り入国できるでしょう。この時に、先ほどお伝えした医師の診断書(現地の言語であることが望ましい)があると安心です。
ただし、万が一機内で体調が悪化し、下痢や嘔吐などの症状がみられ、日本からの感染症を持ち込む恐れがあるとみなされた場合には、一時停留か入国できないまま日本に帰国ということも考えられます。
日本着の場合
日本に帰国した際に、発熱があれば、重要なのはどこの国から帰国したのか?ということです。
滞在していた国で流行している感染症の症状にあてはまっていたら、専門の医師がいる病院を紹介されたり、そのまま搬送されたり、ケースは様々です。
感染力や致死率の高い感染病が疑われる場合には、停留や隔離の措置がとられるでしょう。
後ほどくわしく触れますが、海外で熱が出てしまった場合も、現地の病院に行って感染症でないか診断してもらいましょう。日本に帰ってきてから、日本人医師の診察を受けるより、現地の病気を熟知した医師の診察を受ける方が、より対応がスムーズかと思います。
搭乗前にできること
医師や航空会社と相談をして、いざ飛行機に乗ると決めたものの、やっぱりフライトは心配。
体調が優れない時でも、少しでも安心して飛行機に乗りたいですよね。
ここからは、そんな不安を解消して、長時間フライトでも体調が悪化することがないように、アドバイスしたいと思います。
準備するとよいもの
- 常備薬
- 病院で処方された薬
- 水分
- カーディガンなどの身体を保温できるもの
機内の温度は22〜24℃に設定されていますが、座席の位置によってはとても寒く感じることも。身体は常に温めましょう。 - おしぼり
嘔吐した時に拭いたり、気分が悪い時に顔を冷やしたりすると効果的。 - ビニール袋
使用したおしぼりやティッシュをまとめるのに便利。
どれも機内にあるものですが、突然体調が悪化した時に自分のものがあると安心ですよね。
座席をアレンジしてもらう
体調が悪い時、周りの環境ってとても大切ですよね。
隣が空席だったり、化粧室が近くにあったり、荷物を身近に置いておける座席だったら安心します。
利用する航空会社や、その便の旅客者数にもよりますが、体調が優れない旨を伝えれば、座席を変更できる場合もあります。
もちろん、その際は感染症でないことを伝え、万が一機内で体調が悪化しても自己責任であることを了承した上での話です。
ギャレーとは、CAが食事や飲み物を準備する飛行機の台所のようなところ。
チラーという食品を冷やす装置があるので、近くの座席は少し寒く感じたり、作業する音、光などが気になったりする可能性も。
座席の変更についてもっと知りたい場合には、こちらも参考にしてみてくださいね。↓↓
機内での過ごし方
ここまでは、持ち物や座席の変更といった搭乗前にできることを紹介しました。
次は、体調を悪化させないために、機内でどんな過ごし方をしたらよいのかお伝えします。
- 担当の客室乗務員に体調が悪い旨を伝えておく
- 身体を冷やさない
- 適度に運動する
- 寝れる時に寝る
- 化粧室を我慢しない
では、ひとつずつ解説していきましょう。
担当の客室乗務員に体調が悪い旨を伝えておく
飛行機に乗ると、必ず自分の座席を担当する客室乗務員がいます。搭乗の際に、近くにいる客室乗務員に身体の状態を伝えておくとよいでしょう。
もし自分の身に何か起こっても、状況を理解している客室乗務員がいればスムーズに処置できます。また、客室乗務員の方も万が一に備えて心の準備ができますよね。
心配な時は、躊躇せずに客室乗務員に声をかけることが大切です。
担当の客室乗務員がわからない場合でも、誰か一人に伝えれば情報共有をしてくれるはずです♩
身体を冷やさない
冷えは禁物です。用意した上着を羽織ったり、機内の毛布を使ったり、適宜温度調節をしましょう。航空会社やクラスによりますが、毛布を複数枚リクエストしたり、あたたかい飲み物をリクエストしたりすれば、応じてくれる場合があります。
適度に運動する
狭い機内で長時間座っていると、血流が悪くなりますよね。
身体のむくみや疲れを感じてきたら、席を立って身体を動かしましょう。
https://www.facebook.com/jal.japan/photos/pcb.1193412337358095/1193411577358171/?type=3&theater
あまり知られていませんが、JALの国際線では青竹踏みが用意されています。
ギャレーやドア近くの広いスペースでフミフミしてみてください。足の疲れがすっきり取れます!
寝れる時に寝る
睡眠不足は体調悪化の原因になります。機内で全く寝れないまま、目的地に到着してしまったら余計身体に負担がかかります。
まだ寝る時間じゃないから、などという理由で起きているのではなく、寝れる時に寝ておきましょう。飛行機の中では、眠くなった頃にサービスが始まったり、ほかの乗客の行動で睡眠が妨げられたり、自分の行動がなかなか思い通りにいかないことが多いです。
化粧室を我慢しない
「化粧室に行きたいけど、通路側にほかの人が座っていて行きづらいなあ。」と感じることは少なからずあると思います。でも、化粧室を我慢しているとお腹が張って気持ち悪くなったり、我慢していること自体にストレスを感じたりすることがあります。
申し訳ない気持ちはわかりますが、躊躇せず伝えましょう。
ただ、その方が特別なお食事を頼まれている場合などは、客室乗務員がそのことを把握していないといけないので、客室乗務員にも一声かけましょう!
機内で快適に過ごすために、より詳しく解説しています。↓↓
海外で熱が出たら
旅先でタイトなスケジュールにしたら、最終日に熱が出てしまった!
慣れない土地で疲れが溜まると、体調も崩しやすいです。日本に無事帰れるのか心配ですよね。ここからは、帰国時に熱が出てしまった際の対処法をお伝えします。
現地の病院で診察を
海外の病院って怖いですよね。言葉が通じなかったらもっと心配です。
それでも、現地の病院にかかることをおすすめします。その国の日本大使館に問い合わせると、日本人がよく行く病院や、日本語が通じるスタッフのいる病院を教えてもらえる場合があるので、活用してみましょう。
虫除けスプレーなんかも、日本のものより現地で調達した方がよっぽど効果的だと思います。日本にいる虫と、海外にいる虫は違いますからね。病気も同じで、現地のものは現地で治してもらうのが一番です。
とは言っても、まだまだ医療機関の整っていない国もあるので、目的地によっては注意が必要です。もし旅行中に体調が悪くなっても大丈夫なように、事前に調べておくと安心ですね。
感染症になってしまっていたら
さて、現地の病院でも、重要なのは感染症にかかってしまっているのかどうかです。
感染症にかかってしまった場合は、原則飛行機には乗れません。完治するまで現地に滞在するか、インフルエンザなどの感染症で、特別医師が感染の恐れがないと判断した場合のみ帰国できるでしょう。
しかし、日本に到着した後は、再び検疫所で診察を受ける必要があります。その際は、日本の検疫官の指示に従わなくてはいけません。
症状が重い場合は、最悪の場合一時停留や隔離されることも考えられます。
そんなことは避けたいですよね。
一番は、感染症にかからないことです。日本を出国する際に、渡航先に適した予防接種を受けると安心です。日本出発時に検疫所で受けられる場合もありますが、余裕を持って計画的に受けるといいですね。
また、海外の病院で診察を受けると、多大な医療費がかかってしまいます。万が一に備えて海外旅行保険に加入しましょう。
出発前にどんな感染症予防ができるのか、国別にとてもわかりやすく知ることができます。気になる方はぜひチェックしてみてくださいね。↓↓
感染症ではなかった場合
感染症と診断されなかったからといって、油断してはいけません。感染していても、症状が現れるまで時間がかかっている場合があります。機内など、帰国中に体調が悪化した際には、検疫所で正直に症状を伝えましょう。
また、無事帰国して普段の生活に戻っても、体調が悪化した時はすみやかに医師や検疫所に相談しましょう。どのくらいの期間、どの国に滞在していたかも正確に伝える必要があります。
以下のような症状が同時にみられる場合には、緊急で医療機関におかかりください。
- 発疹
- 呼吸困難
- 息切れ
- 咳が続いている
- 意識がぼんやりとしている
- けががなかったのに、内出血など異常な出血がみられる
- 下痢が続いている
- 乗り物酔いでないのに嘔吐が続く
潜伏期間が長いものは、6週間を越える感染症もあります。感染したまま知らないうちに1ヶ月以上以上日本で過ごしてた!なんてことがあれば恐ろしいですね。
帰国してしばらくは、こまめに検温をするなど自分の体調の変化にすぐ気づけるようにしましょう。
旅行を断念する場合
体調を優先して予約をキャンセルする場合、気になるのはキャンセル料。
ただでさえ旅行を諦めたのに、キャンセル料まで払うなんて、もう最悪です。できることならあまり払いたくないですよね。
キャンセル料ってかかるの?
結論から言うと、利用する航空会社や予約した航空券によって様々な対応があります。
ANAの場合、国内線と国際線で対応が異なります。
国内線の場合
お客様ご本人または同行者が病気などの理由で旅行不可能な場合、次のいずれかの特別対応をいたします。
・ 予約便出発予定日から30日間以内の便への変更を承ります。
・ 払戻手数料・取消手数料を適用せず、全額払い戻しいたします。
※ 予約の変更・取り消しは、当該便の出発前までに行ってください。
※ 病気などの理由で変更・払い戻しをする場合は、医師の診断書などの提出が必要です。
お手続きは、ANA電話窓口 またはANA国内線空港カウンターにて承ります。
※ パッケージツアー・団体旅行をご利用の場合は取り扱いが異なりますので、
ご購入いただいた旅行会社にお問い合わせください。
引用:ANA公式サイト
国際線の場合
変更や払い戻しの取り扱いに関しては、ANA電話窓口 または市内・国際線空港カウンターにお問い合わせください。
お客様のご予約、航空券の詳細/運賃規則を確認のうえ対応させていただきます。場合によっては診断書をご用意していただくこともあります。
引用:ANA公式サイト
同じ航空会社でも路線によって対応が異なるので、利用する航空会社に直接問い合わせることが一番手っ取り早いです。
またここでも、キャンセル料を払わない(払い戻しをしてもらう)ためには、医師の診断書が必要になる可能性が高いです。
医師の診断書で、体調不良によるやむを得ないキャンセルであることが認められれば、キャンセル料を払わずに済むかもしれません。
まとめ
- まずは病院に!
- インフルエンザなど人に移す感染症の場合、飛行機には原則乗れない
- 感染症でない場合は、医師と個人の判断で決める
- 熱があれば検疫所で足止めされる
- 足止めされても、感染症ではないとみなされれば入国できる
- 医師の診断書があれば、キャンセル料を払わなくても良い場合がある!
いかがでしたでしょうか?
熱が出てしまった時の対処法を紹介しました。熱がある状態で飛行機に乗ってしまっても、安心できるような方法をお伝えしましたが、やはり一番は無理をしないことです。
せっかくの旅行なので、コンディションが万全の時に再調整できるといいですよね。ぜひ医師や同行者とよく相談して、心から思いっきり楽しめる旅にしてくださいね!
もっと安心して飛行機を利用したい方は、参考になる記事がありますのでぜひ読んでみてくださいね。↓↓
旅行には心配事がつきものですよね。
そのうえ熱まで出てしまったらもう大変。ひとつずつ不安を解消して、みんながハッピーな旅行にしましょう!