連日、新型コロナウィルスのニュースで3密「密閉」「密集」「密接」を避けましょうという報道がされています。
「機内ってまさに3密の環境だから危険?」
「空の上での換気システムってどうなっているの?」
ドアが閉まってから次にドアがあくまで、長い時では12時間以上閉鎖された空間となります。
機内で換気システムや空気清浄機を目にしたことですよね…
不安に思われる方も多いのではないでしょうか?
上空での飛行機の換気システム
換気は生活するにあったって非常に大切です。
- 有害物質(カビ、細菌、ウィルスなど)が室内に留まってしまう
- 結露の原因となる
- 呼吸によって排出された二酸化炭素の濃度が高まり、息苦しさや頭痛を起こす
機内でもこれは変わりません。しかしながら、飛行機が置かれている環境はとても過酷です。
飛行機が飛んでいる高さは大体高さ8,000~1万2,000mです。
その環境はとても過酷で、気温マイナス50度、気圧は260ヘクトパスカル(地上の4分の1以下)です。
引用:JAL公式サイト
ではそのような過酷な環境で、どのような方法で機内は換気されているのでしょうか。
国内大手2社の公式サイトの情報を使って説明したいと思います!
機内の空気は、常に機外から新しい空気を取り入れ機内で循環させ、その後、機外へ排出することにより、概ね2〜3分ですべて入れ替わる仕組みになっています。
またJALグループで運航するすべてのジェット機には、機内で循環する空気を清潔に保つための高性能空気フィルター*を装備しております。
*High-Efficiency Particulate Air (HEPA) Filter 、0.3μmのサイズの粒子に関して99.97%以上の粒子を捕集
引用:JAL公式サイト
航空機内の空気は、概ね2分から3分ですべて新しい空気に入れ替えています。
常に外気を取り入れると同時に、機内の空気を高性能微粒子フィルター(HEPAフィルター*1)を通して循環させています。
引用:ANA公式サイト
2社とも同じような内容で、なんとなく空気が綺麗そうなことはわかりましたね!
では具体的にどのように機内に新鮮な空気を送り込んで、循環させているのか解説していきます。
機外の空気の取り入れ方
引用:JAL公式サイト
引用:ANA公式サイト
- 機外の空気をエンジンから取り込み、圧縮する。
- 機外の260ヘクトパスカルの空気を、800ヘクトパスカルまで圧縮する。すると気温は一気に28度くらいまで上がる。
- その空気を航空機の下部(お腹のあたり)にあるエアコン装置で機内の適温(24度くらい)まで冷却して、機内へと取り込む。
- それらの空気は機内を循環したのち、圧機外に排出される
機内の空気の大体半分はこの仕組みにより、外気を取り入れて作り出されています。
では残り半分の空気はどのようにして機内に供給されているのでしょうか。
高性能微粒子フィルター(HEPAフィルター)を利用した空気の再利用
引用:JAL公式サイト
引用:ANA公式サイト
天井から噴出した新鮮な空気は渦を巻くように、窓側から中央席を循環し、貨物室へと流れます。
図からわかるように、一度機内を通ってきた空気はHEPAフィルターを通って新鮮な空気へと生まれ変わっています。
では、HEPAフィルターとは何でしょうか?
High Efficiency Particulate Air Filterが略されたもので、JIS規格で『定格風量で粒径が0.3μmの粒子に対して99.97%以上の粒子捕集率を有しており、かつ初期圧力損失が245Pa以下の性能を持つエアフィルター』と規定されております。
ちょっと難しいので簡単にまとめます。
- かなり細かなゴミでも99.97%キャッチできる。
- ゴミは通さないけど、空気は抵抗なくフィルターを通り抜けられる。
ということです!
ダニのふん/カビの胞子/細かな砂ぼこり/ハウスダスト…2~5μm
花粉…直径10μm以上
つまり、ほこりはもちろん、花粉やカビの胞子も通さないのです!
このフィルターはとっても優秀で病院のクリーンルーム、手術室、集中治療室(ICU)でも使用されています。
医療施設以外では、半導体や液晶、医薬品や食品など高いレベルの清潔さを求められる環境でよく使われています。
この高性能フィルターにより、機内に供給される空気は常に綺麗に保たれています(^^)
でも、全部新しい空気を機外からとってくればフィルターもいらないんじゃないの?
だから、機内の空気を再利用する仕組みが整っています。
ちなみにこの換気システムはほぼ全ての飛行機で採用されています。
地上でエンジン停止中の飛行機の換気システム
では、エンジンが停止している地上ではどのように換気をしているのでしょうか。
地上でエンジン停止中の機内の換気方法を4種類ご紹介します♪
① 補助動力装置(小さなジェットエンジンのようなもの)から圧縮空気を取り入れ、エアコンシステムに送る。
【補助動力装置(APU)】写真矢印の部分です
引用:JAL公式サイト
② 「エアコンカー」と呼ばれる空調した空気を航空機に送るための特殊車両があり、そのダクトを航空機につなげて、直接空調を行う。
【エアコンカー】
引用:前川製作所公式サイト
③ 「AC電源車」とよばれるエアコンや照明などのサービス用やメインエンジン始動用の電力を供給するクルマをつなぐ。
【AC電源車】
④ 地上設備として各スポットに航空機用の空調ダクトが準備されており、それらを航空機につなぐ。
【地上施設からの空調供給】
引用:JAL公式サイト
機内でマスクはつけるべき?
機内の換気システムについてここまで解説してきました。
ここでこう思われる方もいらっしゃるのではないでしょうか。
「何となく機内の空気が汚そうだからマスク付けていたけど、つける必要ない?」
いいえ、マスクはつけていただくことをおすすめします!
【機内でマスクをつけるメリット】
- 口内や唇、お肌の乾燥対策になる
- 自分のくしゃみや咳を飛散させないので感染症対策になる
それぞれについて詳しく解説していきたいと思います。
乾燥対策
飛行機は本当に乾燥しています。
湿度はおよそ5~10%で、砂漠以上に乾燥しています!
機内では寝て過ごす方が多いと思いますが、睡眠中は唾液の分泌量が低下するのでどうしても口が乾いてしまうのです。
- 睡眠中にかく汗によって水分不足になるため、口の中だけでなく唇や肌も乾燥がちになる。
- 口臭や、病原菌への抵抗力が低下する。
口の中が渇くと、ただ不快な思いをするだけではなく、口以外の部分にも悪影響を及ぼしてしまいます。
感染症対策
引用:サラヤ株式会社公式サイト
N95マスク…0.3μm以上の微粒子※を95%以上遮断し、かつ着用している部分からの空気の漏れ率を10%以内に抑える機能のあるマスクです。
サージカルマスク…「サージカル」とは元々「外科用の」という意味で、現在ではサージカルマスクは大きく医療用マスクのことをさします。
※インフルエンザウィルスの大きさは0.1㎛ほどです。ゴマ粒の1/10000ほどの大きさです。
自分自身をウィルスから守るという目的でマスクをするのではなく、「自分が咳やくしゃみをする時に、病原体を含む飛沫を飛ばして他の人に病気をうつしてしまわないために、マスクは効果的」ということです。
私たちが普段使うマスクの穴は、ものによりますが大体5㎛です。
自分がくしゃみや咳をした際の飛沫の粒子は大体5㎛なので、自分がマスクをしていれば飛沫の粒子はマスクにひっかかり、他の人に病気を移す心配はありません。
しかし、咳やくしゃみは口から出た時点では飛沫の粒子は大きいですが、空中を飛ぶうちに小さくなって広がっていきます。
飛沫の粒子が小さくなると、マスクの性能によってはウィルスの侵入を防御することができません。
つまり、一人一人が責任を持ってマスクをして、ウィルスを飛散させないことがすごく重要なのです!!
機内でおすすめのマスク2選
様々なマスクが販売されているのでどれがいいか迷ってしまいますよね。
そんな方のために、おすすめのマスクをご紹介したいと思います(^^)
着け心地や喉の潤い具合、呼吸のしやすさなどを重視して選んでみました。
「穴が小さいウィルス対策のマスクがほしい!」という方は“N95 マスク”と検索して頂ければ、対象のものが出てきますので調べてみてくださいね(^^)
のどぬーる ぬれマスク
呼吸をするとどんどん喉が潤っていくのが実感できるマスクです♪
目覚めた時の喉の潤い具合にびっくりしますよ(笑)
このマスクは不織布の一般的なマスクに付属のぬれフィルターを装着して使います。
ぬれフィルターは鼻呼吸を妨げない形状で、口のあたる部分に通気口があいています。
そのぬれフィルターのスチーム力で、10時間のどを加湿してくれます!
立体タイプとプリーツタイプがあり、香りも無香料、ハーブ&ユーカリ、ゆず&かりんがありますので気分に合わせてカバンの中に忍ばせていってくださいね(^^)
潤いシルクのおやすみマスク
ポーチがついているので持ち運びしやすく、何度も洗って使えるのが嬉しいマスクです(^^)
肌にやさしく保湿性の高い素材、シルクを100%使用しています。
のどや鼻、デリケートな唇などを乾燥から守ってくれるのはもちろん、通気性も良いので、息苦しさを感じにくく就寝時にぴったりです。
マスクの正しいつけ方
みなさん、正しいマスクの付け方ってご存知ですか?
恥ずかしながら私は最近友達に教えてもらいました。今まで裏表間違えて使ってました(^^;
折角いいマスクを買ってもつけ方を間違えてしまうと効果が発揮されませんので、正しく使うようにしましょうね!
- ワイヤーが入っている方を上、プリーツのひだが下を向いている状態でマスクを装着する。(初めが大事!!)
- 鼻のラインにワイヤーをそわせる。
- プリーツのひだを伸ばして鼻から顎までしっかり伸ばす。
- 顔とマスクの間に隙間ができないようにする。
- マスクを外すときはマスクのゴムバンドのみに触れる。
引用:静岡新聞公式サイト
- 鼻のラインに合わせていない(鼻の横の隙間から入ってくる)
- 口だけを覆い、鼻が出ている(自分のくしゃみの飛散は防げるが、外部の菌から自分を守れない)
- 着用していたマスクを顎にかける(顎の部分に飛散物がついている恐れがあり、それがマスクの内側についてしまう)
- ゴムひもが緩い(肌とマスクの接着面に隙間ができてしまう)
まとめ
- 機内の空気は2~3分に1回入れかわる。
- 再利用される空気は高品質なフィルターにより浄化されている。
- エンジンが動いていない地上でも、様々な方法で換気が行われている。
- マスクは乾燥や感染症対策の面からつけるべき。
機内の空気に不安をお持ちだった方々、不安が少しでも払拭されれば嬉しいです(^^)
飛行機には皆さまが快適に過ごせるように、様々な機能が備わっています。
ですので安心して空の旅を楽しんでくださいね♪
その他機内に関する記事はこちらをご覧ください↓
今回はあまり知られていない機内の換気システムについて解説していきます♪
これを読めば、安心して機内で過ごすことができますよ!
飛行機ってすごくよくできた乗り物なんだなと思っていただけると思います(^^)